ごあいさつ
平成22年10月1日(金曜)〜2日(土曜)に前橋テルサにて、第31回日本肥満学会学術集会を開催致します。今回のテーマは「新規分子の展開と専門施設の充実:肥満症の克服」です。
肥満は我が国において成人男性の約31%、成人女性の約25%を占め、その頻度は経年的に増加しています。肥満を基盤として、高血糖、高脂血症、高血圧、脂肪肝、睡眠時無呼吸、冠動脈疾患、脳血管障害などの代謝血管異常が高頻度で発症します。特に内臓脂肪型肥満に軽度でも高血糖、高脂血症、高血圧が合併した状態はメタボリックシンドロームと診断され、動脈硬化病変の頻度が高まるので早期の治療介入が必要となります。
肥満の発症は遺伝的素因や加齢の影響を受けますが、最も大きな影響を受けるのはエネルギーホメオスターシスであり、その破綻により肥満が生じます。エネルギーホメオスターシスは主として摂食とエネルギー代謝から構成され、それを担う臓器として脳視床下部と脂肪組織、肝臓、筋肉、膵臓などが知られています。近年の遺伝子手法により、これらの組織から新規の活性分子が分泌されて、エネルギーホメオスターシスを制御していることが次第に判明してきました。
一方、肥満症やメタボリックシンドロームの治療には、専門施設の充実は欠かせないシステムであり、日本肥満学会はその施設の充実に努めているところです。
以上の様な背景を基に本学会を開催することは、肥満症の克服を果たす上で、大変有意義な学術集会になることが期待されます。
本学術集会での特別講演の演者として、Dr. RD Cone ( Oregon Health and Science University, USA )、Dr. J Auwerx ( Universite Louis Pasteur, France )、Dr. Y Tache ( University of California, USA ) の方々が参加予定です。その他に充実したシンポジウムや教育講演などが企画されています。また、ポスター会場では軽やかな音楽と共に、美味しい上州ワインや軽食が提供されます。
多数の皆様のお出でをお待ちしています。
第31回日本肥満学会
会長 森 昌朋